旅行中の油断禁物ホテルの内鍵かけ忘れ


それは、初めての一人旅で訪れた異国のホテルでの出来事でした。長時間のフライトと時差ボケで疲れ切っていた私は、客室に入るなりベッドに倒れ込み、そのまま深い眠りに落ちてしまいました。普段なら、ホテルの部屋に入ったらまずドアチェーンやサムターン式の内鍵をかけるのが習慣になっていたのですが、その日は疲労困憊で、すっかりその一手間を忘れてしまっていたのです。夜中、ふと物音で目が覚めました。最初は気のせいかと思いましたが、明らかにドアの向こうでガチャガチャと音がします。心臓が早鐘のように打ち、全身の血の気が引くのを感じました。ドアスコープからそっと外を覗くと、廊下に人影が見えます。誰かが私の部屋のドアを開けようとしているようでした。幸い、外側のカードキーロックはかかっていたため、侵入されることはありませんでしたが、もしあの時、内鍵をかけていなかったら…あるいは、カードキーが何らかの方法で複製されていたら…と考えると、今でもぞっとします。結局、人影は諦めて立ち去りましたが、私は朝まで恐怖で一睡もできませんでした。この経験を通して、ホテルの内鍵がいかに重要であるかを痛感しました。どんなにセキュリティがしっかりしているように見えるホテルでも、どんなに疲れていても、部屋に入ったらまず内鍵をかける。ドアチェーン、ドアガード、サムターン、利用できるものは全て使う。この一手間が、自分の身を守るための最低限の防衛策なのだと、身をもって学びました。特に一人旅や女性の旅行では、油断は禁物です。ホテルの部屋は一時的ながらも自分のプライベート空間ですが、決して自宅と同じではありません。常に防犯意識を持ち、内鍵を確実に施錠する習慣を徹底することが、安全で楽しい旅行の基本だと、あの夜の恐怖体験が教えてくれました。