クロスバイクの盗難対策として、鍵をかけることは基本中の基本ですが、より確実に愛車を守るためには「ダブルロック(二重ロック)」、つまり鍵を二つ以上使用することが非常に有効です。プロの窃盗犯にかかれば、どんなに頑丈な鍵でも時間をかければ破られてしまう可能性があります。しかし、鍵が二つあれば、単純に破壊や解錠にかかる時間が二倍以上になり、犯行を諦めさせる確率を格段に高めることができるのです。空き巣が侵入に5分以上かかると約7割が諦めるというデータがあるように、自転車窃盗においても「時間稼ぎ」は非常に重要な防犯戦略となります。では、具体的にどのようにダブルロックを実践すれば良いのでしょうか。ポイントは、異なる種類の鍵を組み合わせることです。例えば、切断に強いU字ロックと、様々な場所に巻き付けやすいチェーンロックを組み合わせる。あるいは、メインのU字ロックでフレームと後輪、地球ロックを行い、サブのワイヤーロックで前輪とフレームを固定するといった具合です。なぜ異なる種類が良いかというと、窃盗犯が使用する工具は、特定のタイプの鍵を破壊することに特化している場合があるからです。U字ロックを切断する工具と、チェーンロックを切断する工具は必ずしも同じではありません。二種類の鍵があれば、犯人は二種類の工具を用意するか、破壊に倍以上の時間をかける必要が出てくるため、抑止効果が高まります。具体的なかけ方としては、まずメインの鍵(U字ロックや太いチェーンロックなど)で、基本通りフレーム(後三角など強度のある部分)と後輪、そして地球ロック(地面の固定物)を繋ぎます。次に、サブの鍵(ワイヤーロックや細めのチェーンロックなど)を使って、前輪とフレームを繋ぎます。可能であれば、サブの鍵も地球ロックに絡めるのが理想的です。サドルも盗難されやすいパーツなので、ワイヤーロックなどをサドルレールに通してフレームに固定するのも有効な対策です。鍵を二つ持ち歩くのは少し手間かもしれませんが、愛車が盗まれてしまう悲しみや、再購入にかかる費用を考えれば、その手間は決して無駄ではありません。クロスバイクを安全に楽しむために、ぜひダブルロックを習慣にしましょう。