最近の原付バイク、特にスクータータイプの多くには、メインのキーシリンダー(鍵穴)を物理的に覆い隠す「キーシャッター」という機能が搭載されています。これは、鍵穴への異物の挿入や、ピッキングなどの不正解錠行為、いわゆる「鍵穴イタズラ」を防ぐための有効な盗難防止装置の一つです。しかし、意外とこのキーシャッターの正しい使い方や、その効果を知らない方もいるのではないでしょうか。キーシャッターは、通常、メインキーとは別に、キーの後部などに付いている特殊な形状の部分(多くは六角形などのマグネット式)を使って開閉します。キーシリンダーの横や下にある専用のシャッター操作部に、このキー後部のマグネット部分を合わせて押し込んだり、回したりすることで、シャッターが開閉する仕組みになっています。閉める時は、手でシャッター部分をスライドさせるだけのタイプもあります。キーシャッターを閉めておくことのメリットは、まず第一に、鍵穴への直接的なアクセスを防ぐことです。これにより、ピッキングの工具を差し込んだり、ドライバーなどで鍵穴を破壊しようとしたりする行為を物理的に困難にします。また、雨水や砂埃などが鍵穴内部に侵入するのを防ぎ、鍵穴の劣化や故障を予防する効果も期待できます。さらに、鍵穴が見えない状態になるため、視覚的な防犯効果、つまり「このバイクは対策されているな」と窃盗犯に思わせる抑止力にも繋がります。使い方は非常に簡単です。バイクを離れる際には、メインキーを抜いた後、必ずキーシャッターを閉める習慣をつけましょう。これを怠ると、せっかくの防犯機能が全く意味をなさなくなってしまいます。戻ってきた際には、キー後部のマグネット部分を使ってシャッターを開け、メインキーを差し込んでエンジンを始動します。もし、キーシャッターの開閉がスムーズにいかなくなった場合は、シャッター部分やマグネット部分に汚れが付着している可能性があります。清掃してみるか、それでも改善しない場合はバイクショップに相談しましょう。キーシャッターは、簡単でありながら効果的な防犯機能です。その役割を理解し、日々の駐輪時に確実に活用することで、愛車の盗難リスクを減らすことができます。