あれは忘れもしない、仕事帰りの満員電車での出来事でした。その日は大きな荷物を持っていて、降車駅で慌てて電車を降りたのです。改札を出て、さて自転車に乗ろうかとポケットを探った瞬間、血の気が引きました。いつも入れているはずの自転車と家の鍵束がないのです。ポケットには穴も空いていない。ということは、電車の中か、あるいは駅のホームで落とした可能性が高い…。頭が真っ白になりかけましたが、まずは落ち着いて今来た道を戻ってみることにしました。改札の駅員さんに事情を話し、ホームを探させてもらいましたが、見当たりません。諦めかけて、紛失届を出そうとした、その時でした。ふと、ホームの端にあるゴミ箱の横に、何かキラリと光るものが見えたのです。近づいてみると、それは紛れもなく私の鍵束でした。なぜ気づかずに通り過ぎてしまったのか、そしてなぜこんなところに?おそらく、電車を降りる際にポケットから滑り落ち、誰かが拾って目立つところに置いてくれたのでしょう。私がその鍵束を遠くからでも見つけられたのは、間違いなく付けていたキーホルダーのおかげでした。それは、友人からもらった少し大きめの金属製のキーホルダーで、光を反射しやすいデザインだったのです。もし、鍵がむき出しのままだったら、小さくて目立たず、おそらく見つけられなかったでしょう。あるいは、もっと地味なキーホルダーだったら、気づかずに通り過ぎていたかもしれません。あのキーホルダーが付いていたからこそ、紛失という最悪の事態を免れたのだと、心底安堵しました。この一件以来、私はキーホルダーの重要性を再認識しました。単なる飾りではなく、いざという時に自分を助けてくれるお守りのような存在なのだと。それからは、より目立ちやすく、少し音が鳴るようなキーホルダーを選ぶようになりました。鍵を無くしやすいという自覚がある方は、ぜひキーホルダー選びにもう少し注意を払ってみてください。私のように、キーホルダーに助けられる日が来るかもしれませんよ。