普段何気なく使っているドアノブが、ある日突然回らなくなったり、回ってもドアが開かなくなったりすると、非常に困ってしまいます。特に家の中に入れなくなったり、部屋から出られなくなったりすると、パニックに陥ることもあるでしょう。こうしたドアノブのトラブルは、いくつかの原因によって引き起こされます。原因を特定することが、適切な対処への第一歩となります。最も一般的に考えられる原因の一つが、「ラッチボルトの不具合」です。ラッチボルトとは、ドアの側面から出入りし、ドア枠の受け穴(ストライク)に引っかかることでドアを閉じた状態に保つ、三角形または四角形の部品のことです。このラッチボルトが、内部の汚れやサビ、部品の変形などによってスムーズに動かなくなり、ドアノブを回しても引っ込まない、あるいは引っ込んだまま戻らないといった状態になると、ドアは開きません。次に考えられるのが、「ドアノブ内部の部品の故障」です。ドアノブの内部には、スプリングやネジ、スピンドルなど、多くの細かい部品が組み込まれています。長年の使用による摩耗や金属疲労、あるいは強い衝撃などが原因で、これらの部品が破損したり、緩んだり、外れたりすると、ドアノブが空回りしたり、固くて回らなくなったりします。特に、ドアノブを上下に動かす役割を持つスプリングの劣化や破損は、レバーハンドルタイプのドアノブでよく見られる原因です。また、「鍵の故障」が原因の場合もあります。鍵穴に異物が詰まっていたり、内部のピンが破損していたりすると、鍵が正常に機能せず、ドアノブの動作も妨げられることがあります。鍵を差し込んでも回らない、あるいは鍵が抜けなくなるといった症状がある場合は、鍵自体のトラブルを疑う必要があります。さらに、「ドアやドア枠の歪み」も原因となり得ます。地震や建物の経年変化によってドアやドア枠が歪むと、ラッチボルトが受け穴に強く圧迫されたり、こすれたりして、動きが悪くなり、ドアが開かなくなることがあります。ドアが以前より閉まりにくくなった、隙間ができた、などの兆候がある場合は、この可能性も考えられます。最後に、これら全ての原因の根底にあるのが「経年劣化」です。ドアノブも機械部品である以上、長年使用していれば必ず劣化していきます。設置から10年以上経過しているドアノブは、いつ不具合が起きてもおかしくない状態と考え、注意が必要です。