利便性の高いスマートキー玄関ですが、その仕組みを悪用した新たな犯罪手口も登場しており、注意が必要です。特に警戒すべきなのが「リレーアタック」と呼ばれる手口です。これは、元々自動車のスマートキーシステムを狙ったものでしたが、同様の仕組みを持つ住宅用のスマートキー玄関も標的になる可能性があります。リレーアタックとは、スマートキーが常に発している微弱な電波を特殊な装置で受信し、その電波を増幅・中継(リレー)して、あたかも正規のキーが玄関の近くにあるかのように電子錠を誤認させ、不正に解錠してしまうという手口です。犯行は複数人で行われ、一人が住宅の窓や壁の近くでスマートキーの電波を捉えようとし、もう一人が玄関ドア付近で中継された電波を使って解錠を試みます。スマートキーは、利便性のために常に微弱な電波を発信し続けているため、家の中にキーがあっても、その電波が屋外まで漏れ出ている場合にリレーアタックの被害に遭うリスクが生じます。特に、玄関の近くや窓際にスマートキーを保管している場合は注意が必要です。このリレーアタックの恐ろしい点は、物理的な破壊行為を伴わずに、まるで正規のキーを持っているかのように静かに侵入されてしまう可能性があることです。そのため、被害に気づきにくいという側面もあります。リレーアタックへの対策としては、まずスマートキーの保管場所を工夫することが挙げられます。玄関から離れた場所や、電波を通しにくい金属製の缶や電波遮断ポーチなどに入れて保管することで、電波の傍受を防ぐ効果が期待できます。また、一部のスマートキーには、電波の発信を一時的に停止する「スリープモード」や「節電モード」といった機能が搭載されている場合があります。在宅時や就寝時にはこれらのモードを活用することも有効な対策となります。さらに、スマートキー玄関のシステム自体にも、リレーアタック対策が施された製品を選ぶことが重要です。例えば、キーと電子錠との間で非常に短い時間しか認証を行わないようにしたり、電波の強度や方向を検知して不正な中継電波を識別したりする技術などが開発されています。スマートキー玄関の利便性を享受しつつ、その危険性も正しく理解し、適切な防犯対策を講じることが、安心して暮らすためには不可欠です。